「よし、完成だ・・・」
俺は一息つくと自分が作り上げたゲームの舞台を見ながら、ため息をついた。

ここまで約半年、長い時間がかかったがようやく最高の”おもちゃ”が完成した。
広大な迷路のような物体。
これでしばらくは退屈することはない。
あとはゲームの駒を調達するだけだ。
俺は財布をポケットに押し込むと歌いだしたくなる気持ちを抑えながら
近所のペットショップへと向かった。

ペットショップに着くと俺はあたりを見渡し目当てのものを探した・・・
が、それはあっけなく見つかった。
店の奥のほうで「ウニュウウニュウ!」「チャンマ、チャンマァ!」と喧しく喚いている声が聞こえてきたので、
俺は声のする方向へと足早に向かった。

店の奥のほうで喧しく喚き散らしているのは・・・そう、
体長10cmほどのミニチュアサイズの糞苺の群れだった。
俺が飼育用の籠の前に立つと一斉に俺のほうへと走りより、憎たらしい顔で
「ウニュウ!ウニュウホシイノッ!」
「ヒナ、オナカスイタノッ!ウニュウヨコセナノ!」と一気に喚き始める。
このまま籠ごとゴミ収集車にぶち込みたい衝動に駆られるが、善人ヅラを装って眺める。

「サッサトウニュウヨコセナノ!」
クソが、マジでぶち殺してぇ。
値札にふと目をやると・・・1匹10円。
まぁ、これでたっぷり楽しめるんだから安い買い物だな。
そう自分に言い聞かせると店員に声をかけ、20匹ほど買って帰ることにした。

糞苺は食い物なら何でも食べるため、
一時期は害虫駆除用のペットとして台所に放し、害虫駆除をさせる家が多かった。
雑誌でも特集が組まれてたくらいだ。

しかし、こいつらの食い意地の汚さがまた天下一品で害虫がいない日には
台所の食い物を食い散らかすという事件が多発し、
今では糞苺自体が害虫扱いされている程だ。
ブームも下火で、しかも勝手に増殖するので
ペットショップとしてもなるべくさばいてしまいたいのが本音のようだ。

家に着くと俺はゲームに向けて早速2つの下準備を行った。
1つは、ゲームの時に一緒に行動するグループ、5匹一組に分けること。
2つは、よりゲームに対する絶望感を味あわせてやるために
目いっぱい好物の苺大福を与えて餌付けし、
俺のことを信用させること。


1週間ほどグループ生活と餌付けを続けると、ここでも糞苺どもの意地汚さが露呈し始めた。
他の糞苺の餌を横取りする、気に食わないことがあったらすぐに喚き散らす、
餌を巡ってケンカする、 挙句の果てはイジメまで一丁前にやりやがる。

それを見ながら俺は”そろそろいい頃合だな”と心の底でほくそえみながら
糞苺たちが生活するアクリルで出来た飼育箱に近づいて、言った。
「よし、お前ら。餌の前に話があるから、ちょっと集まれ」

言い終わると同時に餌と言う言葉に反応して糞苺どもが一斉に俺の目の前に集まってきた。
「ウニュウ!ウニュウ!ハヤクヨコセナノ!」
「ヒナオナカヘッタノ!ハヤクスルナノ!」
・・・こいつらはこれしか言葉が分からないのか?
呆れながらも少し強い語調で「いいから黙れ」と言ってやると怯えたように顔を引きつらせ
一斉に喚くのを止めやがった。

「いいか、今からお前らにゲームをやってもらう。
それもただのゲームじゃない、ちょっとした探検ゲームだと思えばいい。
ゴール出来たやつはご褒美にたっぷりうにゅーをやろう」
すると一気に糞苺どもが薄気味悪い笑顔を浮かべながら騒ぎ始めた。

「まだ話は途中だ、ただ、途中にはトラップが仕掛けてある。
トラップにかかったら事実上ゲームオーバー、今日はうにゅー抜きだ」
うにゅー抜きという言葉に再び反応して喚き始める。
「メチャクチャナノ!」
「ヒナハオナカヘッタノ!サッサトウニュウヨコセナノ!」
・・・五月蝿いゴミどもだ。

しかし、次の俺の一言で糞苺どもは一気に静まり返った。
恐怖に、というよりは事態が呑み込めていない、という方が正しそうだが。

「ただ、ゲームオーバーでうにゅー抜き、と言ったが・・・
 ゲームオーバーになるのはお前たちの人生だがな」

その言葉に一気に静まり返る糞苺ども。
まだ意味が分かってないみたいだな。
「簡単に言えば、トラップにかかったらお前らは死ぬって事だよ」
俺が冷笑を浮かべながらそういうと、ほとんどの糞苺どもが恐怖と絶望に震えだした。

だが、そんな中にも威勢のいいゴミがいた様で、何やら一丁前に喚き始めた。
「フザケナイデナノ!ソンナコトダレガスルカナノ!イイカラサッサトウニュウヨコセナノ!
ヒナハオナカガヘッテルノヨ!オマエガシネナノ!」
おうおう、威勢がいいねぇ、ゴミの分際で、
自分の置かれている状況がまだのみこめてないらしいな。
その糞苺に便乗するかのように他の数匹も騒ぎ出した。
仕方ないな、ちょっと自分たちの身の程をわきまえてもらうとするか・・・。

俺は飼育箱の鍵をはずし、
真っ先に威勢良く喚き散らしだしたゴミの一匹の頭を掴みひょいと摘み上げると
他のゴミが逃げないように再び鍵を閉めた。
「おうおう、なかなか威勢がいいじゃねぇか。
ゴミの分際で一丁前に人様に死ねたぁ、覚悟は出来てるんだよな?」
頭を掴んだまま冷笑を浮かべてゴミに話しかけると、
ゴミは短い手足で俺の手を振り解こうと必死でもがき始めた。
「ピャッ!ヤーノ、ヤーノ!ハナシヤガレナノ!キタナイテデヒナニサワルナナノ!」
なおも短い手足を振り乱しながら口汚く俺を罵ってやがる。
頭を掴む手に力を入れると、糞苺の頭蓋骨がミシミシときしみ始めた。
「ゴミって言うのは失礼だよな、今からお前は見せしめとして死ぬんだからな」

そう言ってやると、急にガタガタと震えだし、おまけに失禁しやがった。
「死ぬのが怖いか?俺に逆らった罰だ、せいぜい後悔しながらあの世に行けや」
「ヒィ、シヌノハイヤナノ!ヒナハナンニモワルクナイノニオマエハアタマガオカシイノッ!!」
「そうか、言い残すことはそれだけか?
じゃあ死刑執行だ、一発で死ねるように念仏でも唱えな」
「イヤ、ヒナワルクナイノ!ダカラコロサナイデナノォーーーーッ!!」
糞苺が絶叫すると同時に
俺は手に握った糞苺を思いっきり他のゴミどもが入っている飼育箱に顔面から叩きつけた。

べきゃっと鈍い音を立てて顔面から激突した糞苺は、
「ギャッ!」と悲鳴を上げて床に転げ落ちると
再び足を振り乱しながらのた打ち回り火がついたように泣き叫び始めた。
「ウギャアァァアァーーーーッ!!イダイ、オガオイダイノォーーーッ!!」
そりゃあ痛いだろう、激突の衝撃でへし折れた鼻からは大量に鼻血が噴出し、
歯もほとんどへし折れて口の中も血まみれだ。
「残念だったなぁ、あれで死ねなかったんなら楽には死ねねぇぞお前」
冷たく言い放ち頭を掴むと中にいる糞苺どもに見せ付けるように
何度も透明のアクリル製の飼育箱の壁に顔面を叩きつけてやる。
中の連中は目の前で繰り広げられる凄惨な光景に怯え、ガタガタと震えていた。
しばらくするとぐったりとしてきたので手を離してやるとだいぶ痛めつけてやったが
まだ死ぬには至らないのか原型を留めないほどグチャグチャに潰れた顔で
アクリルの壁に張り付き必死で壁を叩きながら何やら叫んでやがる。

「ダレガッ、ダズゲデッ、イダイノ、モウイヤナノッ、
 ダレガッ、ダレガァ!ビナジニダグナイノ!ダレガハヤグダズゲデナノォ!」
おめでたいやつだ、この期に及んでまだ助けを求めてやがる。
後ろから足払いを食らわせてやると無様に床にすっ転び、
這いずりながらまた壁のほうに向かって助けを求め始めた。
・・・いたぶるのにも飽きたな。
そろそろ止めを刺してやるか。

這いずる糞苺を見下ろすと思いっきり下半身を踏みつけてやる。
「ウバアァァ!」
一緒に腹部も踏みつけたのでゲロと一緒に血を吐き出してピクピク痙攣している。
足を上げるとおまけに糞までもらしてやがる。

「ウゲエェ!イダ・・・グルジ・・・モウヤメデナノ・・・イダイノイヤナノ・・・ゲエェェ!」
ゲロと血を吐き出しながらいまだに訳の分からない事を口走ってやがる。
「そうか、痛いのは嫌か。
じゃあもう痛くなくなるようにしてやろうか?」
糞苺の体を起こして床に座らせてやると優しく問いかける。
すると糞苺が少し元気を取り戻し
「ハヤグッ!ハヤグナオジデナノッ!イダイノ、ビナマダジニダグナイノッ、ダガラハヤグナオジデナノッ!」
こいつはこんな時まで「なのーなのー」抜かしてやがる、頭がおめでたいのか?
「ナニボゲッドジデルナノ!ハヤグナオゼッデイッデルノッ!オマエノゼイデビナゴンナニナッヂャッダノニ、
ゼッダイユルザナイノッ!オマエナンガシンジマエナノッ!」
仕方ない、ならお望みどおりにしてやるとするか。
俺はゆっくり立ち上がって糞苺を見下ろすと、糞苺がさらに怒り狂った様子で
「ナニジデルナノッ!ビナハナオゼッデイッデルノッ!」
最後まで口がへらねぇ奴だ。
「本当に頭が悪いなお前。人の話聞いてたか?俺は一言も治すなんて言ってないぜ?
 痛くなくなるようにしてやるって言ったんだ。・・・じゃあな、
 先にあの世で仲間が来るのを待ってな」
俺は冷たく笑い言い放つとゆっくり足を上げた。
流石に頭がおめでたい糞苺も状況が飲み込めたらしく、目をひん剥いて悲鳴を上げた。
「ア・・・ア゙ンマ゙アァァアァァア!!」
思いっきり糞苺を踏み潰してやると、足元でグチャッと小気味いい音が鳴り響いた。
足を上げるとミンチ状になった糞苺の死体があった。
俺はそれを摘み上げると、飼育箱の鍵を開け、中に放り込んでやった。
「いいか、俺に逆らった奴はこういう風に容赦なく殺す。
お前らの命は俺が握ってるって事忘れるなよ」
最初は目の前で起きた状況を呆然と見ていた糞苺どもだが、
仲間の死体を放り込まれた瞬間に恐怖で麻痺した精神が正常さを取り戻し、
箱の中は一気にパニック状態に陥った。
あまりの凄惨な仲間の死体に気絶するもの、恐怖のあまりに失禁するもの、
グロテスクなミンチ状の死体を目にして嘔吐するもの、
なかなかいい感じに恐怖感を植えつけれたようだ。

「・・・さて、そろそろ話を続けていいか?
ゴミども」

俺はパニックに陥っている糞苺どもに尋ねた・・・が、まったく人の話を聞いていないようだ、
未だに飼育箱の中では糞苺どもがパニック状態でぎゃあぎゃあ泣き叫んでいる。
まぁ、いきなり仲間の公開惨殺ショーを見せられりゃ誰だってこうなるよな。
だが、「俺に逆らうな」とこうやって示してやってるのに・・・このバカどもは・・・。

「黙れっつぅてんだろうが!このままそいつの後を追いてぇのか!?」

飼育箱を蹴り付けそう怒鳴るとビクッと飛び上がり、一気に静かになった。
最初からそうすりゃいいんだよ、アホが。

「いいか、俺はお前らを皆殺しにしようってんじゃない。
ゴールできたらうにゅーをやる。
それから籠から出して自由にしてやる。
どうだ、いい条件だろ?」

俺は大げさに両手を広げてそう言うと糞苺の中の一匹が
恐る恐る俺の方に近づきボソボソ何か喋っている。
「あぁ?何だ、きこえねぇよ」
低い声でそう言うとビクッと体を震わせ、半泣きになりながら尋ねてきた。
「ホ・・・ホントウニゴールシタラニガシテクレルノ・・・?」
「ああ、俺は嘘は付かない。
ゴールできたらお前らを自由にすると約束するよ」
まぁ・・・簡単にはゴールなんて出来ないがな。

それを聞くとその糞苺は少し安心したような表情で群れの中に戻っていった。
「で・・・どうすんだ?やるのか?やらないのか?
それをまだ聞いてなかったよな、とっとと決めろ。
とは言ってもどっちの道が正解か言われなくても分かるよなぁ?」

すると、まだ頭が沸いてるヤツがいた。
状況を理解できていないのか、はたまた単なるバカか・・・まぁ後者だろうな。
「ヤ・・・ヤラナカッタラドウナルノカキキタイノー・・・。
ゲームヨリモホカノコトデジユウニシテホシイノ!」
こいつ、バカか?
目の前であんなの見せられて、いまだにそんなおめでたいこと考えてやがるのか。
沸いてるっつうよりこりゃ末期だ、救いようがねぇな。

「あるぜ。教えてほしいか?」
「ハイナノ!ヒナ、ナンダッテスルカラゲームハシタクナイノ!
ダカラソレヲオシエテナノ!」
「何だってする、か・・・なぁに、そんな難しいことじゃねぇよ。
やる事はたった一つだ、考えるまでもないだろ?」
「ナンナノ?ヒナ、イッテクレナキャワカラナイノヨ?
デキタララクデカンタンナコトガイイノ!」
だめだこりゃ、こいつは本物のバカだ。
そう思いながら俺はニヤッと笑って後ろ手に剣山を握ると善人ぶった作り笑いで言った。

「そうかそうか、じゃあ教えてやるよ。
鍵開けてやるから、ちょっと耳かせ、お前だけに特別に教えてやるよ!」
鍵を開けて手招きするとバカ丸出しの気持ち悪い笑顔でとてとてと俺の方へ走ってきた。
周りもバカだらけで、羨ましそうな顔でそいつを見ている。
俺が手に持っているものにも気づかないほどに。

「サァ、ハヤクオシエテナノ!
イットクケドフイウチシヨウナンテシチャメッメ、ナノヨー」
ニヤニヤと下卑た面でそう言ってきやがった。
ハハハ、バカもここまで来ると笑えて来るな。

「分かった分かった、その方法はな・・・」
飼育箱の鍵を閉めながら言うと糞苺が俺の顔に耳を近づけて必死に聞こうとしている。

・・・バカが。

俺は耳元でそう囁くと、こちらをポカンと口を開けて間抜け面で見ている目の前の糞苺の頭を
掴み、 グリっと180度回転させてやった。

「ウビャアァアァアアァアァーーーーッ!!」
やった俺が言うのもなんだが、顔だけ後ろ向いてる糞苺はかなりグロテスクだな。

「ナン、デ、ヒナ、ヒナナニモワルクナイノ・・・ギャアァ!」
とりあえずそのまままた180度回して元の向きに戻してやった。
もちろん、首は一回転してるが。

「ア、アバ、アバ、アバアァ、ア゙マ゙アァ゙アア!」
白目をむいて奇声を上げ始めた。

「その方法ってのは、ここで死ぬ事だよ」
そう言って糞苺を仰向けに押さえつけると後ろ手に持っていた剣山で顔面を滅多打ちにした。

最初の数発まではおぞましい悲鳴を上げていたが、
じきに静かになり全身を痙攣させながら事切れた。
剣山に滅多打ちにされたので顔面はもちろん赤黒い肉の塊と化していた。

俺はその死体をまた飼育箱に放り込んでやるとパンパンと手をはたきながら
「分かったろ?ゲームに乗りたくないなら言ってくれ、こいつに負けないくらい
とびっきりの方法でぶっ殺してやるからよ。
な?残りのヤツはやるよな?」

俺がそういうと皆観念したように頷いた。
「よしよし、それが懸命だな。
じゃあ、いまからルールがあるからそれを説明してやるよ。」

糞苺どもは青い顔で俺の言葉に聞き入っていた。

ルールとはこうだ。

1、ゲーム中は独りよがりな考えで行動しないこと。
2、傷ついた仲間、能力が劣る仲間がいても最後まで見捨てずに協力してゴールを目指すこと。
  ただし、時と場合によっては見捨てて先に進むことを許可する。
3、途中に置いてあるうにゅーはケンカせずに仲良く皆で分け合って食べること。
  中には毒入りもあるので自分たちで食べるかどうかは判断すること。
4、途中でゲームを放棄しないこと。

簡単なルールだ・・・が、おそらく俺の勘ではこんな事すらも守れないクズが数匹いるだろう。
なんたって、この糞苺自体が”自分さえよけりゃいい”って考え方しか出来ない
クズの中のクズだからな。 我ながらなかなか楽しいゲームだと思った。

「じゃあ、始めるぞ、おら、目の前の部屋に進め。」
俺はそう言うと飼育箱に遊技場に繋がる通路を繋ぎ、前に決めたグループごとに固まらせた。
この部屋は待合室みたいなもので、ゲーム中のやつら以外はここで待つことになる。
「2匹くたばったから、お前はこっち入れ・・・そう、ここだけ3匹グループな。
5匹じゃなくてもゴールできるから安心しろ」
合計18匹、4グループ。
ようやく楽しい見世物の始まりだ。

「さてさて、じゃあさっそく始めてもらおうか。
まずどのグループから行かせるかな・・・」
言いながら糞苺どもを見渡すと何やら皆俺から目をそらしている。
やることがガキ以下だなこいつらは。

そこで俺はこいつらのカラの頭を逆に利用して
自分たちから名乗り出るように仕向けようと考えた。
こいつらなら作戦を立てずともうまく口車に乗せれば簡単に名乗り出るだろう。
「バカだなぁお前ら、早い順番でゲームを始めればそれだけ早く終わるんだぞ?
いつまでも不安にビクつくよりさっさと終わらせて自由になったほうが楽でいいと思わないか?」

たったこの一言。
糞苺どもをその気にさせるにはこれだけで十分だった。
「ソ、ソノトオリナノ!
ハヤクハジメタホウガハヤクオワルノ!
ヒナタチノグループガサキニイクノ!」
ハハハ、バカがあっさり引っかかりやがった。
しかし、前の二匹の事があって少し賢くなったヤツもいるらしく、
「オマエナニシキッテルナノ!
エラソウニカッテニイクトカイウナナノ!
リーダーデモナイクセニオマエエラソウナノ!」
「ソウナノー!
コイツジブンカッテナノ、ダカラコイツヲサッサトコロシテシマエナノー!」
平気で仲間を売るあたり糞苺のゲスっぷりがよく出てるなぁ。
小学生の観察日記の課題にしたらいいくらいだなこりゃ。

こいつはゲームに積極的だしなぁ、お前らルール忘れてないか?
ゲームに消極的なヤツも処刑対象だぜ?」
すると喚き散らしてた奴等は青ざめた顔で黙り込んだ。

「オマエラクライカオスルナナノ!
ハヤクハジメタホウガハヤクゴールデキルノ!
ワカッタラヒナニダマッテツイテコイナノ!」
まぁ・・・早く終わる、とは言ったが一言も早くゴールできる、とは言ってないがな。
まぁ、頭の中はお花畑な奴等だから仕方ないか。

「どうするんだ、行くのか?」
「ハイナノ!ハヤクイッテウニューモラウノー!」
「・・・ワカッタノー、イキマスナノー」
「ソンナコトヨリヒナオナカヘッタノ・・・ハヤクハジメテウニュータベルノー」
反応はそれぞれ違うが、行くようだ。
「よし、ならその扉を出てまっすぐ進め。
広い部屋に出たらすぐに開始だ、気をつけていけな」

「オマエラ、ヒナニツヅケナノー!」
やる気満々のお花畑野郎が相変わらず仕切って他の4匹の先に立って歩き出す。
他の4匹は渋々ついて行く。
このお花畑野郎はつくづく人望がねぇなぁ。
まぁ、他の4匹を暴力で押さえつけて餌を強奪してたような輩だから仕方ないか。
それに、面白いシステムも準備してる、先が楽しみだ。

「着いたな。 じゃあ始めるか・・・っと、そうそう、お前ら、
 特に仕切ってるヤツ、何か勘違いしてるようだから言っとくぞ」
「?ナンナノー?
ヒナナニモカンチガイナンカシテナイノー、サッサトゴールシテウニューヲモラッテコンドコソマトモナニンゲンニカワレテヤルノー!」
「そこなんだな。 お前、頭の中お花畑全開で、もうゴールするの前提に物言ってるけどさ、
 一番手は大体人柱になるのを分かってるか?」
「ヒナハヒナナノ!ハシラジャナイノ!」

やっぱバカだから分からないか。

「まぁいいや。 せいぜい皆の参考になるように死ねよ、
 一番手はまずゴールできないからな、仕掛けの場所も分からないんだし。
 いやぁ、仲間思いだなお前、死んで後のヤツの為に自分を犠牲にするなんて、
 お前みたいなゲスにはもったいない死に方だぜ」

すると、ようやく自分の判断が間違いだったことに気づいたか、涙目になって愚図りだした。
「ヤ、ヤッパリヤメルノー、アトニスルノー」
「黙れこのクズが。
いまさらもう遅ぇよ、このバカが、まんまと口車に乗りやがって」

「イヤナノー!マダシニタクナイノー!」
「大丈夫大丈夫、お前みたいなゲスは遅かれ早かれ死ぬんだからさ」
「ギャー!イヤナノ、ヤメ」「はいスタート」
俺は仕切り糞苺・・・もとい、ゲス苺の言葉も聞かずにスイッチを押した。
入ってきた扉が閉まり、前方の扉が開く。

「さて、俺はあっちの部屋に行くから、仲良くやれよ」
言い残し部屋を出て、パソコンの前に座った。
二つのディスプレイ。
右手側のディスプレイには遊技場と待合室に仕掛けてある小型カメラの映像。
左手側ではブラウザを開いている。
俺は行きつけのサイトに接続すると、掲示板に今までの経過を書き込んだ。
ここは糞苺の虐待趣味の人間が集う場所。
自分が行った虐待を皆が掲示板で事細かに記録している。

そして、糞苺虐待を行っている人間の間でも長らく謎に包まれている、糞苺の「出産」。
増えることは分かっているが、いつ妊娠し、いつ生むのかは長らく謎に包まれている。
今回は待合室に大量に糞苺がいる。
まさに種の保存本能に期待して、あのような部屋に押し込ませているのだ。
もしかしたら、妊娠出産のメカニズムが分かるかもしれない。

だが、俺はひとつ気になることがあった。
だいたい野良も売り物も決まってメスしかいない事。
メスが働いてオスは巣から出ないのか?
しかし、ペットショップの密閉式飼育箱の中にもメスしかいなかった。
これはどういうことだ?
さすがにあんな害虫を仕入れるとは考えにくい。
雌雄同体?
オスなしでも妊娠できるのか?

そう考えを巡らせている内に、遊技場に動きがあった様だ。

(視点切り替え)

「サテ、オレハムコウノヘヤニイクカラナカヨクヤレヨ」

あの人間はそう言うとさっさと部屋から出て行った。

ヒナをこんな目に遭わせるなんて許せないのー!
ヒナは優しくてうにゅーをいっぱいくれる人間に飼われて幸せになるんだから!

「仕方ないのー、お前ら、ヒナについて来いなのー」
「お前何リーダー面してやがるなのー!」

こいつ、ヒナに向かってえらく強気なの・・・
「口ごたえしたら痛い目にあわせてやるのー!」
「そんな事したら人間からお仕置きされるのよー、やれるものならやってみろなのー!」
「あの人間はあっちに行ってヒナたちは見てないのよ、お前バカなのー!」

うるさいバカを殴りつけて・・・ふう、やっと静かになったのー。
泣くくらいなら最初から黙ってついてくればいいの!

「さぁ、出発よー!」
大きな部屋に入ると、向こうの方に部屋が見えるのー・・・
あの人間は罠があるって言ってたの・・・
「おい、お前先に行けなの」
「イヤなの!皆協力すればいいのー」
「さっさと行けなのー!」

さっきボコったバカを押し飛ばして、様子見なの!
ヒナ賢いのー!
「あの扉に向かって歩けなのー!」
「お前絶対許さないのー、絶対人間に言いつけてやるのー!」

今のところ何もないの・・・ん、今あいつの足元からカチッて音がしたの!
「罠なの、逃げるのー!」
「やーの、やーの!あれ!?うにゅーなのー!!」
「うにゅー!?お前動くななのー!」

あいつのとこまで行ったらでっかいうにゅーが・・・独り占めしてやるのー!
「よこせなの!」
「これはヒナが見つけたからヒナのなの!!」
「さっさとよこせなの!」
他のバカも一緒にうるさいの、リーダーはヒナなの!

「うるさいから少しあげるの、その代わり先に食えなの!」
「ずるいのー!たったこれっぽちかなの!」
「早く食えなのー!」

「うげっ、やめてなのー・・・おいしいのー!」
にちゃにちゃ言わせて食いやがって汚いの!
「もっとよこ・・・げえぇ、うげっ、う゛ま゛あぁあぁ!!」

「へ、変なの、苦しみだしたのー!」
「お前ら落ち着けなのー!こいつはヒナのうにゅーを横取りしようとしたから罰が当たったの!」
「ぐるじい、いだいー!だ、だずげでぇえぇ!あ、あ゛んま゛あぁあぁあぁあぁっ!」

「ひ、ひぃい、く、来るななのー!」
「うばああぁあああぁあぁぁぁあああーーー!!」

う、動かなくなったのー・・・し、死んだなの・・・?
「し、死んでるのー・・・お前のせいでこいつ死んじゃったのー!!
絶対お前を人間にお仕置きしてもらうのー!」
「う、うるさいの!黙ってみてたお前も悪いのー!
ヒナは何にも悪いことしてないんだから!
人間は見てないんだから絶対バレないのー!!
お前、喋ったらただじゃおかないのー!!」

バカを痛めつけてたら人間が戻って来たの・・・!
いい子の振りしなきゃなの・・・!

「お、おかしいのー!
こいつが欲張って一人でうにゅーを食べたら、死んじゃったのー!
きっと独り占めしたから罰が当たったのー!」
完璧なの、ヒナはやっぱりいい子なのよ、バカな人間も簡単に騙せるのよ!

「・・・ソウカイ、ソリャアサイナンダッタナァ。
ヨクバッテヒトリジメシタ、ネェ・・・ククク・・・。」
こっちを見て笑ってるのー・・・こいつはやっぱり気づいてないの・・・!
今度こそうにゅー独り占めして、ヒナだけが自由になってやるのー!

糞苺が一匹毒入り団子を食らってくたばってやがる。
あっけねぇな・・・ん、さっきのゲスが何か喚いてやがるな・・・。

このゲスは性格と一緒でケツが汚ぇから一発で見分けがつく。
自分がたれたクソをいつもケツにつけたままだからクソでケツがパリパリしてやがる。
さすが糞苺、家畜以下だな。

「オ、オカシイノー!
コイツガヨクバッテヒトリデウニューヲタベタラ、シンジャッタノー!
キットヒトリジメシタカラバチガアタッタノー!」
「・・・そうかい、そりゃあ災難だったなぁ。
欲張って独り占めした、ねぇ・・・ククク・・・。」

こいつ、バレてないとでも思ってるのか?
俺はこいつの暴挙振りとこいつが毒入り団子を死んだ糞苺に
無理やり食わせたのをバッチリ見た。
なのにこのゲスは俺に媚びた様に首をかしげて笑ってやがる、なんて虫唾の走る顔だよこりゃ。
いますぐ捻り潰してやってもいいんだが、こういう手合いのヤツは調子に乗せておいて
最後に一気に地獄に突き落としてやった方が楽しみも倍増する。
今は気付かなかった振りをしておいてやろう。

どの道こいつらの頭じゃこの次の部屋は進めやしない。
「ここは仕掛けはこれだけだ、さっさと先に進めよ」
「ハイナノ!ヒナハイイコダカライワレタトオリニスルノ!」
本当にこいつはバカだ、仲間を人柱にしといて何が「いい子」だ、カスが。
「じゃあ俺はあっちに戻る、せいぜい頑張れよ」
俺が再び部屋に戻りモニターを眺めると俺の前とはまったく別人のような態度だ。
泣き喚いている他の糞苺どもを殴ってやがる。
「ヒナオナカスイタノ・・・モウガマンデキナイノー、コイツヲタベルノー!」
泣き喚いてやがった糞苺の一匹がそう言うと死んだ仲間に食いついた。
最低限の知恵はあるのか、手足だけを食ってやがる。
ゲス苺は・・・手をつけないな、一匹だけが食ってやがる、多分これも人柱だろうな。
仲間を食らった糞苺は、ぼっこり膨れた醜い腹をさすりながら
「ゲプッ・・・ウィー、オナカイッパイナノー」
そう言って下品にげっぷをすると膨れた腹をさすりながら
ヨタヨタとゲス苺のあとに歩き始めた。
同族食いも抵抗なし、か。
さすがはクズの中のクズどもだな。

次の部屋はちょっとだけ知恵がいる仕掛けがしてある。
何匹生き残るかな・・・?
俺はニヤッと笑い、再び例のサイトを開くと、今までの経過を書き込んでタバコに火をつけた。

・・・楽に死ねると思うなよ、クソにはクソにふさわしい末路を用意してやる。

「うゆ・・・もうこんなのイヤなのー・・・うにゅー欲しいの・・・ここから出たいのー!」
ここは待合室。
一匹の糞苺が毒入り団子を食って死んだ糞苺の断末魔の叫び声を聞くなり
青ざめた顔で泣き叫び始めた。
「お、お前うるさいの!そんな事言ったの人間にばれたら殺されるのー!」
「だってイヤなものはイヤなのー!ヒナ死にたくないのー!」

「うるさいの、黙れなの!そんな事言ってるのがばれる前に黙らせるのー!」
同じグループの他の4匹が泣き喚いている糞苺を取り囲むとボカボカと暴行を加え始めた。
「仲間と協力しろ」、というルールはすでに頭の中から飛んでしまっているようだ。

「びゃっ!やめ、やめてなのー!いたい、痛いのー!」
「イヤならさっさと黙れなのー!」
泣き喚いていた糞苺はボコボコにされてもう泣き喚く気力も無くなっていた。
「ふう・・・これで大丈夫なの!」
他の4匹は息を切らしながらそう言うと何食わぬ顔でボコボコの糞苺を放って
もといた場所に戻った。 ボコボコの糞苺の異変に気付かぬまま。

「ふん・・・あのバカどもが、何をビビッてやがる・・・先に進もうともしねぇ・・・。」
まぁ、やりたいようにさせておくか、所詮はバカの集団だ、
放っておいても問題にはなるまい。
俺は待合室の映像に目をやった。
おうおう、やってるやってる、ゲームをやりたくないとか愚図って
泣き喚いてるヤツをよってたかってリンチか。
まぁ、死んじゃいないようだが・・・
放っておいても再生能力は化け物並だから・・・ん・・・?
こいつ・・・ゲーム開始時にこんなに腹が膨れていたか・・・?
さっきから遊技場内ほどじゃないが待合室も映像は見ていた・・・
交尾している様子もなかった・・・
なのに妊娠している・・・?
どうなってやがる・・・いや待て、まずは様子を見よう。
妊娠しているとは限らないしな・・・こいつをマークしておこう・・・。

だが、俺の疑問は傷が癒えて何とか起き上がった
元ボコボコの糞苺の一言で確信に変わった。

「イタタナノー・・・アレ?ナニモタベテイナイノニヒナノオナカガフクレテルノー!
・・・コドモガハイッテルノー・・・ゼッタイニヒナガマモッテアゲルノヨ!」
バカで助かった。
どういう仕組みかは分からんが、こいつは御懐妊してらっしゃる。
やはり、生存本能になにか関わりが・・・?
その上リンチまで食らってやがった、強烈な死の危険にさらされて妊娠したか?
しかし・・・そんな事があり得るのか?
命の危機が迫ったとき、本能で妊娠するのか?
何から何まで滅茶苦茶だな・・・。


「そりゃあ、出産のお手伝いでもしてやらなきゃなぁ」
俺はゴム手袋を装着すると待合室に向かった。

待合室ではバカどもがぎゃあぎゃあ喚きながらケンカしている。
こいつらはこんなときくらい協力するって考えがないのか?
俺が待合室の前に立つと何も言わなくても一気に静かになった。
例の妊娠糞苺はさっと腹を隠すように他の糞苺の影に動いた。
こういう知恵だけはあるわけだな、バカの分際で。

「さてさて、ゲームは楽しんでくれてるか?
さっきとびきりのBGMが流れたし、やる気も沸いてきたろう?」
BGMというのはもちろん毒入り団子を食わされて死んだ糞苺の悲鳴のことだ。
すると皆面白いようにガタガタ震え始めた。
食い意地と狡賢いだけが取り柄のバカどもでも
自分がどういう状況にいるのかくらいは理解できるわけだな。


「まぁそうビビるなよ。
俺がここに来たのは他でもない、お前たちの中に妊娠しているヤツがいるな?」
俺がそう言った瞬間、一匹を除いてアホみたいに口を開けて呆然としていた。
「何を言ってるんだ」とでも言いたげな顔だな。

「隠れても無駄だ、お前、そうお前のことだよ。
こっちに来い」
すると、首を振って俺の言うことを聞こうとしない。
ほう、バカも親になればさらにバカになるのか?
「いいから来い。
腹の中身ごとあの世に行きてぇか?」
そういうとビクッと体を震わせ、涙目になって俯いていたが観念したように俺の前に歩いてきた。
「オ、オネガイナノー・・・ヒドイコトハシナイデナノ・・・」
「お前何を勘違いしてる?
俺はお前の出産を手伝ってやろうって言ってるんだ」
すると糞苺の顔がぱあっと「気持ち悪く」輝いた。
こいつはどんな顔してもとりあえず気持ち悪い、
なのに自分では自分が可愛いと思い込んでいるからたいしたもんだ。
「ホ、ホントウナノー?ニンゲンサン、イガイトイイヒトダッタノー!」
こうやって今まで平気で同族を殺した人間をあっさり信じ込むのも頭の中がお花畑な証拠だな。

「そういうことだ、鍵を開けてやるから出て来い」
「ハイナノー!コレデコドモトイッショニジユウニナレルノー!」
こいつはどれだけカン違い野郎なんだ。
誰が自由にしてやるといった、俺が興味があるのは腹の中のガキだけだ。

俺の部屋に連れて行き、小型のアクリルケースに入れると、
俺は糞苺に声をかけた。
「お前に聞きたいことがある。
お前らはどうやって妊娠する?交尾でもするのか?」
「ニンゲンサンッタライヤラシイノー、ヒナタチハカワイインダカラカンタンニハソウイウコトサセテアゲナイノヨー」
バカが。
お前みたいな不燃物の生ゴミを誰が抱くかってんだ。
「質問に答えろ。交尾するのか?」
低い声で射抜くように言うと一気に顔を引きつらせた。
「ピャッ・・・!シ、シナイノ!シナイケドデキルノー!ヒナモワカラナイノー!」
分からない、か・・・こりゃ習性の領域の話になるな・・・。
まぁいい、これ以上は聞いてもこいつのお粗末な頭じゃ聞くだけ無駄だろう。

「分かった、質問はこれだけだ、じゃあ早速出産に入るか」
よく見ると待合室にいた時よりも明らかに膨れている。
ここまで化け物じみてるのかこいつらは。
「ウユーヒナニハワカルノ、ママダカラワカルノ、モウスグウマレルノー!!」
陣痛か?
なにやらフウフウと肩で息をしている。
「おいおい、大丈夫か?」
俺が心にもないことを言ってやると、
「イダイ、イダイノッ!ニンゲン、ボゲットシテルナナノ、サッサトテツダエナノ!コノヤクタタズ、ナノー!」
ハハハ、分かりましたよ、じゃあ「さっさと」産ませてやるか・・・。

俺はゴム手袋を装着した両手で糞苺を掴むと、
「お望みどおりさっさと産ませてやるよ、痛いかも知れんが我慢しろよ」
「ワ、ワカッタノー・・・デキレバヤサシクシテホシイノ゙ォオォオオォゲェアアァアアアァ!!!」
俺は糞苺を掴んだ両手にありったけの力を込めると糞苺がすさまじい悲鳴を上げる。
何やらベキベキ言ってるが気にしない気にしない。
どうせ全身の骨が折れてる程度だ。
「ウゲエェエェッアアア゙ァァァアア゙ンマ゙ア゙ァァァアアオエ゙エ゙ゲェェエエェッッッ!!!」
するとアクリルのケースの中に大量のクソと一緒にボトボトと・・・6匹分か?
クソとは違う、クソのような色をした玉を産み落とした。
「これで全部か?まだ残ってるんじゃないのか?」
そういってお次は腹を圧迫するように両手で思いっきり握る。
「ゲェエェエアアァアァアアアァ!ヤメデヤメデ、ジヌ、ジヌゥウウゥゥゥ!!」
「聞こえない聞こえない」
俺は軽く無視すると腹の中身が出切ったのを確認して、
親糞苺をアクリルケースの中に投げ捨てた。
「ブベッ!!」
どうだい、お望みどおり「さっさと」産ませてやったぜ。


糞玉に視線を移すと、なんと糞玉を食い破ってさらにちっこい糞苺・・・
まぁ俗に言う仔糞が沸いてきた。
一個の糞玉につき一匹か。
合計8匹の仔糞どもはイライラさせるような声で
「ウニュウウニュウ」「アンマアンマァ」「チャンマ、チャンマ!」「ピャー!」
などとそれぞれに喚いている。
可愛くもなんともないな。

親糞苺はまだ体をビクビク痙攣させている。
すぐには回復しないだろう、全身の骨が折れてる筈だしな。
「ママーママオナカヘッタノー」「ウニューホシイノー!」
産まれたと言わんばかりに食い意地か、素晴らしい糞具合だな。
その光景を見て俺はふと思った。
子供には罪はない、ゲームに参加させるのは可哀想だ、と。

俺は仔糞どもに声をかけた。
「腹が減ったか?ならおれが餌をあげよう」
すると仔糞どもはヘッホヘッホ言いながら俺の方へ駆け寄ってきた。
「ウニュー!ウニュー!ハヤクチョウダイナノー!」
子供のうちはまだ言葉遣いがまともだな。
俺は更に子供を巻き込むまいと思い始めていた。

「よしよし、じゃああげるよ、ちょっと待ってな」
俺はそう言うと一番近くにいた仔糞をひょいと摘み上げると、
グチャッと音を立ててすり潰した。
「ほら、お食べ」
すり潰した死体をアクリルケースに投げ込むと、
他の仔糞が群がり一気に平らげてしまった。
「マダホシイノー!」
子供のうちは同族食いにもさらに抵抗がないみたいだな。
「分かった分かった、ほら」
同じようにまた一匹すり潰し・・・とうとう最後の一匹になった。

「マダホシイノー!ミンナイナクナッチャッタケドヒナガヒトリジメシチャウノー!」
「じゃあ一生腹が減らないようにしてあげるよ」
そういって最後の一匹もすり潰すと
傷が癒えかけていた親糞苺の口の中にぶちこんだ。
「ウムー、オイシイノー、デモウニューガイイノー・・・」
そうかそうか、自分の子供はうまいか。
しばらくすると傷が癒えた糞苺が起き上がり我が子を探し始めた。
「イナイ、イナイノ!コドモヲドコニヤッタノ!」
「どこにって、お前おいしいおいしいって言いながら食ったじゃねぇか」
「ウ、ウソナノー!ジャ、ジャアアレハ・・・!」
「そう、我が子を食らうなんてまさにクソだよ、お前」
「アッ・・・アンマアアァッァァァァァアア!!」
糞苺は耳障りな声でぎゃあぎゃあ泣き喚き始めた。
腹にきつい一発を食らわせて黙らせると待合室の中に放り込み、
モニターを眺める作業に戻った。
ゲームのほうもそうこうしてるうちに少し進んでいるようだ。

子供に罪はない、罪のない子供をゲームに参加させるのはあまりに心の痛むことだ。
だから、そんな目に遭わないようにここで楽にしてやったわけだ。
我ながらなかなか良いことをしたな。
俺はフッと笑い、再び煙草に火をつけた。

「な、何もないのー・・・」
どうなってるのー、仕掛けなんか何もないの・・・これは楽勝なのー!
でも、やけにこの部屋だけ天井が高いの・・・。
「おい、お前あの扉まで走れなの」
「お前いい加減にするのー!ヒナは絶対に行かないの!」
「いいからさっさと行くの!」
「うびゃっ!痛いの、ひどいのー!」
「早く行けなの!」
どいつもこいつも、一番可愛くて賢いヒナの言うことを聞いてればいいのー!
あいつへっほへっほ言って走ってやがるのー、
使えないやつはこういう時くらいヒナの役に立たないといけな・・・何か音がしたの・・・。
「びゃー!何か音がしたのー、怖いのー!」
「戻ってくるななのー!さっさと扉に・・・!」
えっ?
なんで、扉が閉まったのー!
「閉じ込められたの、怖いのー!」
な、何か揺れてるの・・・なんなのー?


「うびゃーっ!天井が下がってきてるのー!」
「お前うるさいの、落ち着けなのー!どうにかして止めろなの!」
あわてちゃダメなのよ、こういうときは冷静に・・・あっ!
「お前そこに落ちてる紙を拾うのー!」
「こ、これ意味が分からないの!」
「な、何なの、どうしたらいいのー!」

『この部屋のどこかにスイッチがある。
それを探さないとお前らはここでゲームオーバーだ。

一つだけ忠告しておく。


スイッチを押した後は何があってもこの部屋に入るな』


「す、スイッチを探すのー!」
「あったの!」
「早く押すのー!」
「いっぱいあってどれが正解か分からないの!」

な・・・なんなの、ボタンが5つもあるの・・・!!
「間違ったら絶対死んじゃうのー!」
「こ、こうなったら勘なのよ、お前どれでも良いから押すの!」
「い、嫌なの、まだ死にたくないの!」
「押さなかったらこのままぺしゃんこになるのよー!」
「う・・・こ、これなの!」


ガチッ。

「うぎゃー!水まで出てきたのー!」
「つ、次なの、次を押すの!」
「えいなの!」

ガチッ。

「な・・・何も起こらないの・・・」
「でも止まってないのー!」
「これも押すのー!」
「あっ、やめ・・・」

ガチッ。

「うびえぇあばあっばっばばばばああぁぁっぁあぁ!!」
「な、何踊ってるのー!」
「だずげ、でぇっびゃあぁぁぁあぁぁぁ!!」

こ・・・こいつ真っ黒こげになっちゃったのー!
「おい、ボケっとしてないでお前が次は押すのー!」
「やーの、やーっびゃあぁ!」
「うるせーの!口ごたえするななの!!」
馬鹿は殴られなきゃ分からないの!

「こ、これなの・・・」
ガチッ。
ガタン。

「と・・・止まったのー」
た・・・助かったのー?
でも水も無くなっていってるし天井も止まってるの・・・。

「さっさと出るの!」
早く出ないとまた動き出すかも知れないの・・・やったの、扉も開いたの!
ガタン。
ん?
何か後ろから音がしたの・・・箱?
あ、あれ、うにゅーの箱なのー!
「おいお前、あのうにゅーを取ってくるのー!」
「やーの、やーの!戻ったらダメって人間の手紙に書いてあったの!」
「あんなの脅しに決まってるのー!さっさと行けなの!」
「ひどいの、お前が行けなの、このゲス!」
このゴミが、可愛いヒナにゲスなんて・・・許さないの!
まずは顔面に一発、次は腹にキックなの!
「うびえっ!げえっ、うげえぇ!ひ、ひどいのー!」
「可愛いヒナにゲスなんていうからなの!」
こいつはボコボコにしないと気が済まないの・・・!
「びゃっ、いくの、いくから止めてなの!」
「お前は許さないの!お前なんか死ねなの!」
「いぎゃっ、うびっ、びゃあぁ!やっ、やめ、で、い、いだい、のびゃあああぁ!」
足腰立たないくらいボコボコにしてやったらスッキリしたの!

「代わりにお前行けなの、行かないとか言ったらこいつみたいにするの!」
「わ、分かったの、行くから殴らないでなの・・・」
あれが本物のうにゅーだったら無理やり奪って独り占めしてやるの・・・!
あいつはボコして黙らせて・・・
「へっほ、へっほ・・・うわあ、うにゅーだー!」
「いいからヒナによこせなの!」
「バーカ、お前みたいなゲスの言うことなんか聞かないのー!
これはヒナのなの!」

あいつ馬鹿なの、毒入りかもしれないのにガツガツ食ってやがるの!
「おいしいのー!うにゅーなのー!」
あれ?
何で、あいつ死なないの、じゃあ、あのうにゅーは本物なの!?

「さっさとヒナに食わせろなの!」
「うにゅーおいしいの、これはヒナのなのー!」

もう許せないの、ボコしてぶん取ってやるの・・・!
「ういー、お腹いっぱいなのー」
「ヒナにもよこ」「ういーゲプっ」

ズドン!


何の音なのー・・・?

何か後ろの馬鹿が喚いてるの・・・
「お、お前・・・手、がないのー・・・」
え・・・?
ひ、ヒナの可愛い右手が・・・
な、無くなってるのー!

「うびゃあぁぁあぁぁあぁあっ!!!!」
痛い痛いイタイイタイいたい!!!
何で、ヒナのお手手が無くなっちゃったの!


「ゲプッ」
あいつ、ゲップしやがって汚い・・・の?
え・・・あいつにいっぱい線が入ってるの・・・!
「ゲプッ」
ひ・・・!
あいつの体がサイコロステーキみたいにバラバラになっちゃったのー!


ブリブリブリブリッ!
う、うんち漏らしちゃったの・・・
な、何で・・・部屋に戻ったから呪われたの?
は・・・早く逃げなきゃなの!

・・・ふん。
この程度の罠にかかるとはな。
親切にあんなに手紙の最後で忠告してやったのに、これか。

まぁ、感電死は仕方ねえやな、あいつは運がなかった。

だが、あの苺大福に目が眩んで部屋に戻ったあの二匹・・・片割れはゲス苺か。

部屋に戻ってはいけない、と理解していたにも関わらずこれだからな。
命より食い意地か。
ここまで来るとただの獣だな。


最後の罠は箱の下に仕掛けていた。
箱の下にセンサーがあり、センサーが重さを感知できなくなったら作動する仕組みだ。
仕掛けは慈悲に満ちたものだ。
何のことはない、強烈に細い鉄線の張られた天井が降ってくる。
あの様子だと自分が死んだことにも気付いてないだろうな。

それにしても・・・あれだけ忠告してやったのに戻るとは、
こいつらの脳みその中身は限りなくカラに近いのか?
俺が同じ立場なら絶対に戻らないだろう。
あれだけの事があったら間違いなくこけおどしとは思うことは出来ないしな。
それをこけおどしと判断したあの二匹はボケちまってんのか、
または果てしないアホか・・・。

さて、あと二匹か・・・。
次の部屋は少し頭を使うぞ、越えられるか・・・?
まぁ、越えられても越えられなくても俺が楽しいのには変わりはないがな。
せいぜい恐怖しながら死ぬが良いさ。

俺が煙草に火をつけ再びサイトに経過を書き込むとある事に気付いた。
なにやら足元でへっほへっほと声がする。
・・・どうやらお客さんのお出ましか。
わざと窓を開けておいた甲斐があったな。

お客さんとは・・・そう、野良の糞苺だ。
とはいっても別に捕まえてゲームに参加させるわけじゃない。
俺のちょっとした暇つぶしに協力してもらうだけだ。
どうせゲームをやってる連中も次の部屋は簡単には出れない。
凄まじく複雑な迷路だからな。
まぁヒントは置いているが・・・早くても2、3時間はかかるだろう、あの頭じゃな。
俺がゆっくり立ち上がると足元の糞苺どもが慌てて逃げ出した。
しかも馬鹿だからみんな同じ方向に逃げてやがる。

「ようこそ、ここがお前らの地獄の一丁目だぜ!」
そういって5匹の糞苺どもをすべて捕獲した。
捕獲した連中を箱の中に入れてやると
ぎゃあぎゃあとそれぞれが喧しく喚いていてうるさかったので
とりあえず箱を何度も強く振り壁に投げつけた。
壁や近くの仲間に当たったのか箱の中からはうめき声しか聞こえなくなった。
さて、どうやって楽しもうか・・・。
ん?
なんだ、まだ一匹いたか。
そいつは俺めがけて一直線に走ってきながら何か喚いている。

「ママヲハナセナノー!!」
「あっそ」

俺はそいつの特攻をかわすとバランスを崩してよろけた仔糞の後頭部を
思いっきり蹴飛ばした。
「ウビャッ!!」
すると上手い具合に母糞がいる箱にグチャッと音を立てて勢いよく激突し、
頭の中身をぶちまけてズルズルと力なく崩れ落ちていった。
いかんいかん、つい強く蹴りすぎたな。
だがまぁ、今生の別れがママに出来て良かったな、俺に感謝しなよ?

さて、料理を始めるとするか。
野良の連中は食い荒らしだけでなく部屋中に糞を撒き散らしていく害獣だからな。

「さてさて、じゃあ念仏は唱え終わったか?
今からさっきのバカの後を追わせてやるからな」

そういって俺は近くに糞苺に手を伸ばし掴みあげると
ぎゃあぎゃあ喚きながら俺の手に噛み付いてきた。
「おお痛ぇ痛ぇ、まったく痛ぇ・・・なぁ!」
俺は噛み付いてきた糞苺の口の周りを掴み、
一気に握りつぶすと糞苺の顎がバキッと音を立てて砕けた。
「アヒャアアァァァアァアアーーーーッ!!」
さて、こいつは俺に噛み付いたんだ、まずは見せしめになってもらおう。
顎を砕かれた痛みとショックで顔を押さえて
俺の手の中でめちゃくちゃに暴れまわる糞苺のドブ臭い口の中に指を二本入れると、
このバカが何を思ったか俺の指を舐めまわしてきた。
痛みの為か涙を流しながら必死で舐めまわしている。

「なんだ、命乞いか?助けて欲しいのか?」
するとこくこくと頷いている、目が「殺さないで」と哀願していた。

「イヤだね」

俺はそう言い放つと口に突っ込んでいた指を勢い良く下に引き下ろした。

「ウギッ・・・ギャアアアァァァァァアア!!」
おお、下顎がむしれても叫ぶ元気はあるのか。
無くなった下顎のあたりを押さえながら泣き叫んでいる。


「とりあえず満足な道具が無いからこいつで我慢してくれよ」
俺はそう言うと割り箸を手に取り、こいつの肛門に軽く挿してやった。
俺も割り箸を使った虐殺方法はサイトでいくらか見てきたが、
同じにしちゃつまらない。
ほんのちょっとだけ手を加えて処刑するかね。

俺はそのまま割り箸を半分ほど突き刺すと予想通りの反応。
「ア゙ンマ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アアア゙ーーーッ!!」
「うるせえゴミだな、今夜はちょいとスペシャルだ、たっぷり味わいな」


俺はそう言うと突き刺した割り箸をぐりぐりと体内でかき回してやった。
「アギャアバババアアァァァァアアァァ!!」
なにやら体内でバキバキグチャグチャ音がしているがかまわずかき回し続ける。
「ウガアアアァァァァァアアバババアアア!!」
最期に一際大きい悲鳴を上げると目をかっと見開き事切れた。
なんだ、もう終わりか・・・つまらないな。
まぁいい、まだ4匹いるしな。
俺は手の中の糞苺の死体を投げ捨てると再び椅子に腰掛けた。