糞苺のヒナちゃん


我が家では一匹の糞苺を飼っている
糞苺のヒナちゃんだ。
「ヒナちゃんおはよ!今日は久しぶりにお散歩行こうか」
「ワーイ!オサンポ、オサンポ♪ヒナオサンポダイスキナノ〜」
ヒナちゃんの首輪にリードを付けてやり、いざ出発!
糞苺は基本的に室内というか、ケース内だけでも飼育可能なのだが、
たまに気分転換で散歩に連れ出す。
クンクン、スンスン
早速、犬の小便の匂いに反応し、マーキングするヒナちゃん。
ブリブリッ!
「あ〜ダメだよヒナちゃん。道端でうんちしちゃダメって言ったじゃん」
「ヒナカワイイノ〜!ダカラベツニイイノ〜」
「ヒナちゃん、道端でしたうんちは、その場で食べなきゃダメなんだよ」
「ウ、ウユ…ソウダッタノ?」
「常識だよ、ヒナちゃん」
勿論、嘘だけどな。
「ヒ、ヒナチャントシッテタモン!ウンチヲタベルノハジョウシキナノ〜」
そう言って苦悶の表情でマイウンチを食べるヒナちゃん。
本当に騙され易いなぁ。馬鹿だなぁ。
ま、そこが可愛いんだけどね♪
「オエッ…ゼンブタベタノ〜!」
「偉いぞヒナちゃん。さあ行こうか」
「ハイナノ〜!」

しばらく散歩していると、公園に着いた。
「ヒナちゃん、ブランコしよっか♪」
「ワ〜イ!ブランコ、ブランコ♪ヒナブランコダイスキナノ〜」
あれぇ?確かヒナちゃんブランコ初めてだよ。ま、いっか♪

「じゃあヒナちゃん乗って。しっかりつかまらなくていいからね。
 じゃあ行くよ〜♪……オラァァァァァァァッ!!!」
僕は渾身の力を込めてブランコを振り抜く。
ヒューン!
「チャ…アンマァアアアアアー!?」
勢い良く空中に投げ出されるヒナちゃん♪
可愛い〜♪
ズシャアッ
砂場に頭から突っ込むヒナちゃん。
「ゲホッ!ゲホッ!」
「ブランコ楽しかった?」
「ウ〜…アマリタノシクナカッタノ〜」
「でもヒナちゃんブランコ大好きってさっき言ったじゃん」
「ヒナソンナコトイッテナイノ〜」
いや、言ってたから。
ヒナちゃんは本当に馬鹿だなぁ。
ま、そこが可愛いんだけどね♪
「じゃあ次行こうか」
「ハイナノ〜!」

しばらく散歩していると、横断歩道に出た。

「ヒナちゃん、横断歩道だよ〜♪」
「ワ〜イ!オーダンホドー、オーダンホドー♪ヒナオーダンホドーダイスキナノ〜」
う〜ん…絶対意味わかってないよねヒナちゃん。ま、いっか♪
「じゃあヒナちゃん、信号が赤になったら向こうまで走って渡るんだよ」
「ヒナソレクライシッテルモン!」
「まだ青だからね。いいかい、ボクはここで見ててあげるからね
 赤になったら急いで向こう側まで渡るんだよ」
「ワカッタノ〜♪」
やがて信号が赤に変わる。今だ、行けヒナちゃん!
ヘッホヘッホ
ヒナちゃん走る、走る。短い足で一生懸命走る。
半分まで来た所で横から車がズドーン!
「ア゛ン゛マ゛ッ!!!?」
空中で4回転くらいしてそのままアスファルトに着地…
…する前にまた車が来てズドーン!
「…ッ」
また空中で派手に舞って向こう側に見事に着地♪
グシャッ
「ハ……ハヒ…?」
あれぇ、まだ息があるよヒナちゃんすご〜い♪
絶対即死だと思ったのにぃ。

立て続けに2度も車に跳ねられちゃったヒナちゃん
おそらく全身の臓器を激しく損傷しているだろう、
生きているのが不思議なくらいだ。
「惜しかったねヒナちゃん。もう少しだったのにね」
「…ヒ…ヒハ……ヒュー…」
もう声も出せないみたいだねヒナちゃん。
本当に馬鹿だなぁ。ま、そこが可愛いんだけどね♪
ヒナちゃんを片手で持って暫く歩いてると、ゴミ置き場があった。
「ヒナちゃん、ここで待っているとゴミ収集車っていうのが来るからね。
 その車に乗せてもらってゴミ処理場っていう所にいったら楽ちんになるからね♪」
「…ヒハ………」
よしよし、お利口さんだね。
それじゃあねヒナちゃん。短い間だったけど楽しかったよ。
そ〜れ♪
僕はヒナちゃんをゴミ山に放り込んだ。
さてと、4代目ヒナちゃんともお別れだね。
明日ペットショップに行って5代目ヒナちゃんを買おっと♪


終わり